#9 譲渡所得その3

#9 譲渡所得その3

譲渡所得その3では、株式等に係る譲渡所得について記載します。株式等に係る譲渡所得とは、株式等の譲渡による所得をいいます。特徴は総合課税ではなく、申告分離課税とされる点にあり、税率が決まっています。ストックオプションNISAについても記載していまので確認してください。

上場株式等の範囲について

株式取引は、大きく分けて上場株式等と非上場株式に分類されます。

  • 取引所上場株式(上場外国株式、上場新株予約権証券・上場新株引受権証書含む)
  • 上場新株予約権付社債
  • 上場外国投資法人の投資口(カントリーファンド)
  • 日銀出資証券
  • 外国市場で売買されている株式(ADRや会社型投資信託を含む)や新株予約権付社債
  • 上場優先出資証券
  • 公募株式投信の受益証券(ETF含む)
  • 上場株式等に係る単元未満株・同端株(買取請求)
  • 上場不動産投資法人の投資口(J-REIT)
  • 上場未公開株式等投資法人の投資口(ベンチャーファンド)

 

課税方式 譲渡区分 税率
申告分離 上場分

未公開分

15.315%

(住民税率5%)

源泉分離 上場分 確定申告不要

(なお、源泉徴収税率20.315%)

 

 

株式等の譲渡所得ではなく、他の譲渡所得とされるもの

株式形態のゴルフ会員権の譲渡→総合譲渡所得

同族株主が行う土地等の譲渡に類する株式等の譲渡 → 分離短期譲渡所得

 

NISAについて

 

 

 

 

ストックオプションについて

ストックオプションとは

ストックオプションとは、会社が従業員や役員等に対して発行するその会社の株式を取得することができる権利です。ストックオプションは、発行時に価格、行使期間等が定められて発行され、従業員や役員等のモチベーション向上を図ることが目的となることが多いようです。(ストックオプションを行使すると、一定の価格で会社の株式を取得できるため、会社の株価を高めることへのインセンティブとなるためです)

 

税務上のストックオプションは2つに分類されます

税務では、ストックオプションは税制適格ストックオプションと税制非適格ストックオプションに分類されます。どちらに分類されるかで課税のタイミングが異なるため注意が必要です。

 

税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションに分類されるのは以下の場合です。以下に該当しない場合は税制非適格ストックオプションに分類されます。

対象者 次のいずれかに該当するもの(大口株主及びその特別関係者を除く)

・自社の取締役または使用人

・発行済み株式総数の50%超を直接または間接に保有する法人の取締役または使用人

期間 付与決議日後2年を経過した日から10年を経過する日までに権利行使すること
価額 1株当たりの権利行使価額は付与契約締結時の時価以上であること
制限 権利行使価額の年間合計額が1,200万円を超えないこと

 

 

 

 

ストックオプションの課税のタイミング

 

 

株式等に係る譲渡所得の計算方法について

株式等に係る譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用 + 譲渡した年の負債利子)

 

 

収入金額

 

取得費

株式等に係る譲渡所得の取得費は、株式等の購入金額の他に購入時の委託手数料、消費税等の費用が含まれます。また、同一銘柄を2回以上にわたって取得した場合の取得費は、購入ごとに取得単価を平均する方法(総平均法に準ずる方法)により計算します。

実際の取得費が、その株式等の譲渡収入金額の5%に満たない場合には、その5%相当額を取得費として申告できます。

 

 

譲渡費用

株式等に係る譲渡所得の譲渡費用には、証券会社に支払う売買委託に対する委託手数料、信用取引の「品貸料」、「信用金利」、「配当落ち調整金」等の支払いがく、株式等の取得のために要した借入金の利子で譲渡した年に支払われた金額などがあります。

 

譲渡した年の負債利子