#13 山林所得

#13 山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡した場合の所得をいいます。また、立木のまま譲渡した場合の所得も山林所得に含まれます。山林所得は、他の所得と区別して税金を計算する分離課税方式(5分5乗方式)が採用され、優遇されています。

山林所得の判定

山林に係る所得であるものの、山林所得にならないものがあります。下の具体例を参考にしてください。

 

具体例

山林所得とならない取引例説明
山林を取得してから5年以内の譲渡山林所得ではなく雑所得になります。(山林売買業の場合は、事業所得です)
山林を山ごと譲渡山林部分については、山林所得、土地部分については、譲渡所得になります。
山林を育成、伐採、製材して譲渡育成から伐採までを山林所得、製材から譲渡までが事業所得になります。(※)

※製材業者が植林の上、伐採して製材、販売を行う場合、所得が二つに分かれます。植林から伐採までが山林所得に含まれますが、このときの山林所得の金額は、原木貯蔵場における原木の価額を基礎に計算することとされています。また、製材から販売までが事業所得に含まれますが、このときの事業所得の金額は、原木の価額を取得価額として計算することとされています。

 

 

非課税取引

相続により山林を物納した場合、債務弁済のための強制換価手続による譲渡がなされた場合、国や地方公共団体に対して贈与された場合などは非課税です。

 

 

 

山林所得の計算方法

山林所得は、総収入金額から必要経費と特別控除を差し引いて計算します。

山林所得 = 総収入金額 - 必要経費 - 特別控除 (-森林計画特別控除 )(-青色申告特別控除)

 

 

総収入金額に含めるべきもの

譲渡した金額を総収入金額に計上します。家事のために消費(自宅を建てるために使用)した場合は、その時の時価で総収入金額に計上する必要があります。収入を計上する時期については、引き渡しが済んでいない場合でも契約の効力発生日で計上することができます。

 

 

必要経費に含めることができるもの

≪原則≫

必要経費は、山林所得を得るためにかかった植林費、維持管理のために要した管理費、伐採するために要した伐採費、運搬して販売するために要した運搬費や仲介手数料が含まれます。

 

 

≪特例≫

必要経費は、上記のものを含めることが原則ですが、特例として概算経費控除を採用することもできます。これは、長期にわたる山林の管理について、必要経費を正確に算出することが難しい場合があるため、おおよその金額で経費を算出することを認める特例です。

 

概算経費控除は、15年前の12月31日以前から継続所有していた山林を譲渡するときに採用することができます。計算方法は以下の通りです。

概算経費控除額 = (総収入金額 - 譲渡費用) × 50% +譲渡費用

譲渡費用とは、伐採費や運搬費などです。

 

 

特別控除

≪原則≫

特別控除額は50万円です。なお、総収入金額から必要経費を差し引いた残額が50万円未満となる場合は、その残額となります。

 

≪特例≫

森林計画の対象となる山林で、その計画に基づいた伐採、譲渡がなされた場合、森林計画特別控除を受けることができます。特別控除金額は、収入金額から譲渡経費(伐採費、運搬費等)を差し引いた残額の20%です。(収入金額から譲渡経費を差し引いた残額が2,000万円を超える場合、超えた部分については10%になります)

 

≪青色≫

青色申告者の場合、山林所得から10万円の特別控除が認められています。(山林所得には、65万円の控除適用がありません)

 

 

 

税額計算

山林所得は、他の所得と分離して5分5乗方式により税額の計算を行います。

(山林所得金額 ÷ 5 × 税率) × 5