#5 雑所得

#5 雑所得

雑所得とは、他の9種類のどの所得にも該当しない所得をいいます。代表的なものに、公的年金等、職業作家以外の方が受け取る原稿料、印税、講演料等があります。また、外国為替証拠金取引(FX取引)や先物取引の所得も、雑所得として扱われます。

雑所得の代表的な例示

他の所得に該当しない様々な所得が雑所得に分類されます。代表的な公的年金等と公的年金等以外のもの、先物取引(FX取引)について、順番に解説します。

 

 

公的年金等(総合課税)

国民年金、厚生年金、共済年金等の年金、確定拠出型年金(401K)の老齢給付金(401Kは一時金として受け取ると退職所得になります)、外国法令に基づいた社会保険等に類する年金が該当します。

 

公的年金等の確定申告不要制度

その年の公的年金等の金額が400万円以下、かつ、その年に公的年金等以外の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要となっています。

なお、その年の医療費が多い場合は、医療費控除を利用して還付を受けたほうが得をする場合があります。そのような場合は、確定申告をすることもできます。

 

 

公的年金等以外(総合課税)

公的年金等以外に分類されるものとして、事業として行っていない場合の金銭の貸付による利子収入、職業作家以外が受け取る原稿料、作曲料、デザイン料その他の収入、そして生命保険等の個人年金などが公的年金等以外として雑所得になります。

 

 

先物取引、FX取引(申告分離課税)

公的年金等と公的年金等以外にも雑所得に分類されるものとして、商品先物取引や外国為替証拠金取引(いわゆるFX取引)があります。これらは、公的年金等と公的年金等以外が総合課税とされるのに対し、申告分離課税とされます。

 

 

 

雑所得の計算方法(公的年金等、公的年金等以外)

雑所得の計算は公的年金等、公的年金等以外、先物取引等に分類され、それぞれ計算方法がことなります。計算は難しくないので、順番に確認しましょう。

 

 

公的年金等の計算方法

公的年金等は収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。なお、遺族年金や恩給

は非課税ですので、収入金額に含める必要はありません。

公的年金等の雑所得金額 = 収入金額 - 公的年金等控除額

その年の収入金額に含める年金は、その支給日で判断します。計算は年齢と収入金額でことなります、下の表を参考にしてください。なお、年齢は12月31日時点で判定します。

 

65歳未満の方

(a)公的年金等の収入金額雑所得の金額
70万円までは所得金額はゼロ0円
70万円超~130万円未満(a)×100%-70万円
130万円以上~から410万円未満(a)×75%-37.5万円
410万円以上~770万円未満(a)×85%-78.5万円
770万円以上(a)×95%-155.5万円

 

65歳以上の方

(a)公的年金等の収入金額雑所得の金額
120万円までは所得金額はゼロ0円
120万円超~330万円未満(a)×100%-120万円
330万円以上~410万円未満(a)×75%-37.5万円
410万円以上~770万円未満(a)×85%-78.5万円
770万円以上(a)×95%-155.5万円

 

 

公的年金等以外の計算方法

公的年金等以外の雑所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

個人年金の受給がある場合、必要経費の算出方法が少し特殊です。

個人年金の必要経費 = 源泉徴収前の年金合計 × (払込保険料合計 ÷ 年金の総支給見込額)

年金受給の際には、保険会社から書面で必要経費の金額が記載された書面が送付されてきますので、計算式を覚える必要はありません。

 

なお、年金から必要経費を差し引いた金額が25万円以上となる場合は、10.21%源泉徴収されます。

 

 

 

雑所得の計算方法(公的年金等、公的年金等以外)

先物取引等の計算方法

先物取引等の雑所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

公的年金等の雑所得金額 = 総収入金額 - 必要経費

総収入金額

先物取引は、反対売買の差金決済がなされるため、総収入金額は差金決済額となります。なお、スワップポイントも含まれます。

 

必要経費

先物取引の必要経費として、売買手数料のほかに、取引をするために直接要したパソコン購入費、プロバイダー費用、セミナー参加料なども含めることができます。

 

税率について

先物取引等の雑所得は、分離課税です。そのため、他の所得とは区分され、税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)+住民税5%)で課税されます。

 

損益通算について

先物取引等から生じた損失は、他の所得の金額と損益通算することができません。ただし、同じ先物取引等から生じた利益と損益通算することはできます。例えばFX取引から損失が生じていても、商品先物取引から利益が出ていれば、これを相殺(損益通算)することができます。

 

損失の繰越について

損益通算しきれなかった、損失は翌年以後3年間繰り越すことができます。翌年利益が生じれば、当年の損失を翌年の利益から差し引くことができるため、利益が出ていなくても確定申告をしておくとよいでしょう。具体的には以下を確認してください。

 

①先物取引の損失について、「申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」及び「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付した確定申告書を提出する。

②その後も「申告書付表」を添付した確定申告書を提出する。

③繰越控除を受ける場合、「申告書付表」及び「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付した確定申告書を提出する。