#9 源泉徴収

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源泉徴収とは、従業員に給与の支払いをする場合、士業へ報酬の支払いをする場合に所得税と復興特別所得税を差し引いて支払うことを言います。

差し引いた(源泉徴収した)所得税等は、支払いを行った人が税務署に納める必要があります。

源泉徴収をする義務のある方

給与の支払いを行う人には、原則として源泉徴収をする義務があります。

例外として、以下のような個人の場合には、源泉徴収をする必要はないとされています。(法人の場合は異なりますので注意してください)

 

ベビーシッター家政婦さんだけに給与を支払っている人

 

給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、給与所得者が確定申告などをするために、税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません)

 

士業への報酬については、後ほど詳細に記載しますので参照してください。

 

 

源泉徴収の手続き

事前に届出書の提出

新規に事業を始める時

個人事業主として、新たに事業を始める時は、「個人事業の開業等届出書」を提出します。この届出書に従業員の状況を記載する箇所があるため、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出は不要です。

 

 

事業を既に行っている時

個人事業主として既に開業していて、従業員を雇うこととなった場合、「給与支払事務所等の開設届出書」を1か月以内に税務署に提出する必要があります。

 

 

 

源泉税の納付期限

原則

源泉徴収した税金は原則として、給与等を支払った月の翌月10日まで納める必要があります。

 

 

特例

原則通りだと毎月源泉税を納める必要があり大変です。そこで納付期限の特例が設けられています。特例が適用されると年2回の納付で済ませることができます。

 

1回目の納付期限・・・1~6月分を7月10日までに納付

2回目の納付期限・・・7~12月分を1月20日までに納付

 

 

特例は、以下の2つの要件を満たせば適用することができます。

 

要件1 従業員が常時10人未満

要件2 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」※を提出

※提出期限はなく、提出した翌月に支払う給与から適用されます(=翌々月の納付から適用)

 

 

 

納付方法

納付方法は大きく分けて2通りあります。納付用紙の記載と納付場所へ行くのが手間となるため、e-Taxの利用をおすすめします。

 

1.銀行、郵便局あるいは税務署で納付用紙を提出して納付する

納付用紙は税務署で入手することが可能です。(年末調整の資料と合わせて税務署から送付されてきます)

 

また、金融機関にも、源泉税専用ではありませんが、納付書があるため利用することができます。

 

納付書の記載方法はこちらを参照してください。

 

 

2.e-Taxを利用して申告し、ATM、インターネットバンキングで納付、あるいはダイレクト納付する

まず、e-Taxを使って源泉税の申告をします。申告した金額をATMで納付することができます。詳細は源泉税の申告・納税方法を参照してください。

 

 

 

士業への報酬

従業員から給与の源泉徴収をするのと同様に、弁護士や税理士等の士業に報酬を支払う場合も源泉徴収をする必要があります。

 

源泉徴収の範囲

士業に支払う報酬からは、原則として源泉徴収する必要がありますが、以下のようなものは源泉徴収の対象となる報酬に含める必要はありません。

 

・登記など国へ支払うことが明らかなもの(登録免許税など)

・通常の範囲内の交通費、立て替えたホテル代など

 

士業からの請求書に、報酬とは別に例えば調査費や日当などが加算されている場合があります。この場合、登記や交通費などに該当しないため報酬に含めて源泉徴収する必要があるため、留意が必要です。

 

 

士業の源泉徴収額

士業からの源泉徴収額は以下の通りです。(10%が所得税、0.21%が復興特別所得税です)

士業への支払い金額(=A)源泉徴収する額
100万円以下A × 10.21%
100万円超(A - 100万円) × 20.42% + 102,100円

 

例1 

税理士から報酬15万円の請求書が届いた場合、源泉税の15,315円(15万円×10.21%)を差し引いた134,685円を支払うこととなります。(相手が税理士なら源泉税の金額を聞いてしまってもよいでしょう)

 

例2

弁護士から報酬190万円の請求書が届いた場合、源泉税の285,880円((190万円―100万円)×20.42%+102,100円)を差し引いた1,614,120円を支払うこととなります。

 

 

消費税の取り扱い

士業から届いた請求書に記載の報酬の額に消費税等が含まれている場合、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象とします。

 

例外として、請求書に記載の報酬と消費税等の額が明確に区分されて記載されている場合、報酬のみを源泉徴収の対象とする金額としてよいこととなっています。